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中国の海洋進出に対する米国、フィリピン、日本の対応

2012/06/09 16:43

  最近の中国による東アジア・太平洋地域における海洋進出および艦船の活発な活動は、周辺諸国の警戒心を高め、米国も関係諸国の正当な対応行動を支援する姿勢を明らかにしている。以下の動きも中国を念頭に置いた関係諸国の行動として注目される。

  まず、現下の海洋秩序に関する基本ルールは、国連海洋法条約において詳細にわたり規定されているが、かつてその制定当時の政府間条約交渉過程において米国の主張が重要な点について完全に通らなかったことを不満とし、従って米議会の承認を得ることも困難な見通しであったことから、20年にわたりこれを批准をせず、海洋に関する國際法としては、国際慣習法としての確立している海洋法の一般的法規範に依拠するとの立場をとってきた。しかし、国連海洋法条約は、すでに米国以外の全ての主要国を含む160を超える国連加盟国が締約国となっており、米国としても、もはやこれを無視することは非現実的となり、米国の正当な利益を守り、積極的にその主張を展開する実際的必要からもこれを批准することが米国の国益であるとの考えに次第に変わり、批准に向けた検討を行ってきたが、中国の最近の海洋進出に対抗する見地からも出来るだけ早期の批准が望ましいとしてその検討を加速させている。

  5月23日、米議会上院外交委員会の公聴会において、クリントン国務長官やパネッタ国防長官が出席し、米政府の考えを説明したが、とくにパネッタ長官は 「南シナ海での領有権問題を巡り、中国に対して国際法に基づく平和的な解決を求めているのに、米国がその条約を締結していなければそもそも議論もなしえず、国益を損なう」と 述べ、、議会に条約の批准を強く求めたという。

   また、5月23日、通常会期を終えている国連総会において、国連事務総長や多数の諸国の外相が出席し、国際紛争を平和的に解決するための調停制度に関し意見交換を行うハイレベル特別会合が開催された際、フィリピンのデルロサリオ外相は、同国と中国が互いに領有権を主張する南シナ海にあるスカーボロー礁という浅瀬周辺では、1か月以上にわたって双方の監視船が対じし、緊張した状態が続いている状況に言及し、「われわれは、司法という第三者による解決が、理念のうえからも実効性のうえからも有効だと考えている」とし、南シナ海での領有権を巡る問題の解決のために、国際海洋法裁判所に訴えることを考えていることを明らかにしたという。

  さらに、日本も、最近ホストとして開催した第6回太平洋・島サミットの首脳宣言「沖縄キズナ宣言」(5月27日発表)の中で、とくに「海洋問題」を取り上げ、「海洋安全保障等の海洋協力を促進することの重要性ならびに太平洋の平和と安全を維持する上で国際法の果たす役割を認識し、国連海洋法条約の重要性を強調する」旨明記するとともに、参加した島しょ諸国に対し、今後3年間で最大5億ドル(約400億円)の援助供与や人的交流等の強力な支援協力策を盛り込んだことは、中国の海洋進出を強く意識したものと云えよう。
(Y. I. )
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 姉妹ブログ「現下の国際問題」 (http://blogs.yahoo.co.jp/ksmgsk66),(http://blogs.yahoo.co.jp/ksmgsk66),(http://ameblo.jp/ysishi45/)でも本欄と同一記事がご覧になれます。
  (http://www.269rank.com); http://news.blogmura.com/http://politics.blogmura.com/ http://blogranking.fc2.com/in.php?id=398288http://blog.with2.net/in.php?802369
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  2012年版中国の軍事力に関するペンタゴン報告書が5月18日米議会に提出され、公表されました。((http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2012_CMPR_Final.pdf))
 推薦図書・資料
 1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテリジェンス―機密から政策へ】
  マーク・M・ローエンタール 著
  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
 2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104)
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注目される日韓間の防衛上の協力関係強化の動き

2012/06/09 16:42
    戦後の日韓関係は、国交正常化以後も、竹島領土問題をはじめとして、漁業、教科書、慰安婦、日本海呼称問題等々、紛争や対立の種がなくならず、緊張関係が常態化してきた。それでも、日米韓合同演習、対北朝鮮共同歩調、日中韓協力常設事務局のソウル設置、東アジア大震災救援援助、文化財の韓国への返還、日韓FTA交渉など協力の場面が次第に拡大してきたことは歓迎すべきことである。
  
    日韓両国は、歴史的な諸問題を抱えつつも、地政学的に利害を共有する部分も少なくなく、本来、安全保障面では「自然的同盟国」の関係にあるといってもおかしくない。とくに近年における中国の台頭により利害関係は一段と増大しているといって良い。

    そのような中で、最近になって、両国政府筋より、日韓両国が防衛にかかわる2つの協定(人道援助、災害救援、軍事情報の相互協力に関する「日韓軍事情報包括保護協定」)および両国が兵器を除く物品や輸送などを融通し、平和維持活動で協力する「物品役務相互提供協定」)が詰めの段階を迎えており、数週間内に日韓防衛大臣会談が開かれて署名、締結される運びとなっていることが明らかになった。

    両国がともに同盟関係を結んでいる米国もここ数年来、日韓間の何らかの軍事上の協力関係が正式に結ばれることを希望してきているといわれ、韓国海軍の哨戒艦「天安」が2010年3月に北朝鮮から攻撃を受けて沈没したとされた事案が発生後の同年7月、米韓両国が海事合同演習をした際に、米国は日本がオブザーバーを派遣することを歓迎したという。 

    ただ、上記2協定の正式署名日はまだ決定しておらず、これら動きが報じられてから、韓国側には、これら協定は、韓国国民感情に適さない上、朝鮮半島の平和と緊張緩和に何の利益ももたらさないとして、日韓軍事協定締結の論議を中断すべしとの意見もでてきていると報じられているので、注意を要しよう。
    (Y. I. )   
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  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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米中による陳光誠事件の処理が示す人権問題の異例な交渉プロセス

2012/06/09 16:41
中国の「盲目の人権活動家」陳光誠氏が中国当局による軟禁を脱し米国大使館に保護された問題は、5月3−4日北京で開催された米国と中国の閣僚が経済や安全保障上の課題について話し合う第4回「米中戦略・経済対話」の直前に発生した。

人権問題は、米中間における極めて機微な事案となっているので、双方とも細心の注意を払って処理に臨んだと思われるが、米側は、特別なやり方(ロック米大使によれば「ミッション・インポッシブル」を実施)で陳光誠氏を米大使館で保護した際、同氏は安全が保障されるなら中国に留まりたいとの意向を米側に示していたことを踏まえ、中国側に対し米大使館による保護行為を不問に付すよう交渉し、中国側も外交部報道官が米側のやり方は、明らかな内政干渉だと不満を述べつつ了解を与えた様子であった。

しかし、その後、陳光誠氏が中国にとどまるとの当初の意向を翻し、米国への出国を希望することを外国記者に表明したことから事件はさらに複雑化し、上記米中対話会合の進行中も舞台裏で米中間で鋭意交渉が行われるという異例な展開を見せた。
さらに陳氏は、4月3日、上記米中閣僚会議の最中、米議会下院の中国特別委員会で電話による証言を行い、北京に滞在中のクリントン国務長官に会って、米国へ出国するための支援を直接要請したいという意向を示した。

同委員会のスミス委員長は「中国政府が陳氏の身の安全を保証するという約束を守るかどうかは非常に疑わしい。アメリカが本当に人権を重視しているかが試されている」と述べ、議会としてこの問題に積極的に関与していく立場を強調したという。また、ロムニー共和党大統領候補もオバマ政権の同事件の処理の仕方を強く批判する発言を行った旨報じられた。

このような状況下で、本問題は、双方政府の上層指導部に挙げられ、交渉が行われた結果、陳光誠氏のために米国学術教育機関のしかるべきポストが用意され、米側としては家族と共に受け入れることで最終的詰めが行われているようだ。

以上のような合意が極めて早急に成立が図られた背景としては、米国の大統領選挙戦や中国の指導層交替への影響を踏まえ、とくに米側では、スマートフォン技術を駆使し、議会が強い関心を示しはじめた状況を考慮し、通常では合意困難な点についても政治的観点から早期に了解し合うことで米中双方の利害が一致を見たということであろう。
(Y. I. )   
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米国のアフガニスタン撤兵時期の前倒しもありうるアフガン情勢

2012/06/09 16:40
   オバマ大統領は、就任前の選挙戦当時から自分が当初より強く反対してきたイラク戦争については出来るだけ早期に米軍の撤収を図るが、アフガニスタンについては、テロとの戦いの観点から必要な米軍の駐留を支持するとの基本姿勢を鮮明にし、まずイラクよりの米軍兵力の撤収を計画通り実現させた。
   一方、アフガニスタンについては、米国は、タリバン勢力の盛り返し、カルザイ政権の統治・治安維持能力の脆弱性・汚職問題、米軍一部部隊の誤爆・規律問題等に悩まされながら、中長期的視点から、タリバンとの対話の可能性も探究しつつ、国際治安支援部隊(ISAF)の中核を担う米軍の駐留は2014年まで必要との戦略を維持してきた。
   しかも、ごく最近の3月14日には、オバマ米大統領は、ホワイトハウスでキャメロン英首相と会談し、アフガニスタンからの撤退は、従来の計画通りに進める考えで一致したとし、2014年末のアフガン軍の治安権限移譲に向けて、米英両軍は明年から支援任務の比重をさらに高めることを発表したばかりであった。
   しかしながら、最近連続して発生した米兵によるコーラン焼却事件やが民間人16人を射殺した事件等不祥事件により現地に急速に高まった反米感情を受けて、3月15日カルザイ大統領は、アフガニスタンを訪問したパネッタ米国防長官に対し2014年末までに予定される国際治安支援部隊からアフガン政府への治安権限の完全移譲を13年中に前倒しするよう求めたという。
   カルザイ大統領の右要求は、国内向けの側面もあるとみられる。オバマ大統領としては、大統領選挙戦の最中、対アフガンの戦略の失敗を認めることとなる尚早な撤兵の要求には応じられないと思われるが、名誉ある、ある程度前倒しした撤収の可能性も検討せざるを得ないであろう。
   ただ、その場合、タリバンも最近の情勢下で、米との和平に向けての対話ルートとして設置を検討してきたカタール・ドーハ事務所を取り止める方針に政策変更しつつあるとの報道もあるので、米国としては、みすみすタリバンの戦術に陥ることのないよう慎重な対策・行動をとらざるをえないであろう。
    (Y. I. )   
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強まりつつある日米豪印間の安全保障ネットワーク

2012/06/09 10:27
中国の軍事力の膨張と海洋進出は、直接間接に周辺諸国に様々なインパクトと対応の変化を引き起こしつつある。

南シナ海水域の島しょをめぐる中国とASEAN関係諸国の緊張関係は、周知の通りであるが、米国、日本、豪州、インドも安全保障上の相互対話を緊密化し、さらに共同軍事演習の実施にまで連携を拡大し、強めてきていることが注目される。

日本と豪州は、永らくそれぞれ米国と2国間同盟関係にあるが、近年これら3国間の安全保障対話をも緊密化してきており、日米豪閣僚級戦略対話の第4回目を2009年9月実施した。
また、日米両国は、インドとも高級実務者間協議の第1回会合を2011年12月にワシントンで、第2回目を本年4月東京で開催し、さらに3回会合をインドで開催する予定とされる。

パネッタ国防長官は、本年6月6日インドを訪問し、アントニー国防相との会談後、ニューデリーでの講演の中で米国が打ち出したアジア太平洋地域を重視する 新しい国防戦略を説明し、「東アジアから南アジアにかけての弧を描く地 域に軍事協力やプレゼンスを広げていく方針であり、インドとの防衛協力はこの戦略の要の1つだ」とし、インドとの防衛関係を強化していく考えを明らかに し、インドとしても、米国との関係強化をてこに軍備の近代化を一段と進めたい考えであるという。

さらに、6月5日の発表によれば、海上自衛隊はインド海軍との初の共同訓練を6月9日に相模湾で実施し、これにはインド海軍の駆逐艦などの艦艇4隻と海自 の護衛艦2隻やヘリが参加し、陣形訓練や捜索・救難訓練をする。 これは、日本とインドが2008年に発表した「安全保障協力に関する共同宣言」に沿って、2011年11月の両国防衛相会談でなされた共同訓練の実施に関 する合意に基づくものであるという。杉本正彦海上幕 僚長は6月5日の記者会見で「戦術技量の向上と友好関係の促進が目的であり、アジア太平洋地域の安定した条件につながる」と述べ、アジット・クマールイン ド東部方面艦隊司令官は、別途取材の記者に「海自との訓練を通じた連携は、海上輸送路の防衛や海賊行為への対応で意義のあるものだ」と述べたとされる。
(Y. I. )
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中国の駐日大使館書記官の違法行為問題

2012/06/02 16:15
中国の駐日大使館の一等書記官が、外交官であることを隠して虚偽の住所を記入した申請書を東京の葛飾区役所に提出し、外国人登録証を不正に取得し、銀行口座を開設していたとして、外国人登録法違反、外交関係に関するウィーン条約で禁ずる商業活動従事の疑いで、2012年5月中旬警視庁公安部が外務省を通じ、中国大使館に当該一等書記官の出頭を要請したのに対し、中国大使館はその要請を拒否し、当該書記官は出頭しないまま中国へ帰国してしまったとされる事件が大きく報道されている。

中国側は、同書記官の帰国は任期終了によるものとし、一部に報じられたスパイ活動等の事実は根拠なしと否定しているという。

報道によれば、警視庁公安部は、当初、同書記官は、「中国人民解放軍総参謀部第2部」に籍を置いていると見て、スパイの可能性が高く、日本企業に中国進出を持ちかけていたのは「人民解放軍の影響下に置き、軍の資金源にする狙いがあった」との見方を示したとされるが、その後、同人が開設した銀行口座は、多数にのぼり、妻の勤務先からの給与も入金されているものや中国への進出についての助言等で得られる企業から顧問料を振り込んでもらうためのものもあり、「個人的な蓄財のため」の活動との見方が出てきており、違法な機密情報収集をした形跡は確認されていないという。

同書記官の実名は、中国側からもすでに明らかにされており、東大研究員だった頃を含め、日本滞在期間が長く、日本語達者で、永らく日本専門家として育成されてきたようであるので、報道の顔写真を見ると、筆者を含め、ああ、あの人かと分かる、都内でのセミナー、シンポジウム等でよくコメント、質問をしていた人物であり、中国大使館経済部館員として、日中経済関係に関与し、幅広い人脈を築いていたのは当然であろう。

大使館の外交要員は、特権免除を有するので、任国官憲よりその出頭要請があっても、出頭を拒むことができるが、多少なりとも説明しにくい不都合があって、館員の在勤を続けさせることが得策と判断されないときは、「任期終了」したとして即刻帰国せしめてしまうのは、多くの国が行っていることであり、珍しいことではない。

従って、今回のケースについての真相は、まだ分からないところが多いが、中国側が同書記官の日本での行動のすべてを掌握していなかった可能性もあり、まずは、中国側が内部的に調査することになるのであろう。
ただ、少なくも、上記にあるような、同書記官の活動が「人民解放軍の資金源」に寄与させる狙い云々といった見方は、人民解放軍が機密費を含め資金不足の状況にあるとは到底考えられないので、的外れの観を免れないといえよう。
  (Y. I. )
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2つの重要サミットへの基本姿勢について露呈した米露間のすきま風

2012/05/20 14:12
今般米国キャンプ・デイビットで開催された本年のG8サミットには、先般再度就任したばかりのプーチン大統領は欠席し、首相に降格されたメドベージェフを代理出席させた。
   他方、オバマ大統領も、最近、9月ウラジオストックで開催されるAPEC首脳会議への欠席を発表した。

   両サミットとも、これまでどの参加国にとってもそれぞれの外交政治日程に出席必須の首脳会議として前もって組み込み済みの最重要会議とされ、首脳が死亡等真にやむを得ざるケースを除き、欠席した事例は極めて希といえるものだ。
   とくにG8サミットは、ロシアにとっては冷戦終結後やっと参加を認められたものであり、2006年ロシアが初めてホスト国としてサンクトペテルブルグで開催した際は、プーチンは、大統領として準備、運営万端につき細心の気を配り、議長を務め、成功させた。

   そのような性格の米国ホストの今回のG8サミットにプーチン大統領が国内政治上の理由で直前になって欠席を決めたのは、米側によって不快感をもって受けとめられたことはまず疑いない。従って、米国が、ロシア欠席の通報を受けて余り間をおかずして、米国がまだかなり先のロシアホストのAPECサッミトへのオバマ大統領の国内政治上の理由による欠席を発表したのもそのような米側の不快感を反映したものとみることも出来よう。

   APEC首脳会議は、G8サミットと異なり加盟国が非常に多数にのぼるため輪番で議長国が一巡するには長い年月を要する。本年のロシアホストサッミトにおいては、ロシアのアジア太平洋国家としての発展の可能性を世界に印象づけ、協力を取りつけるための好機として、プーチン大統領は、様々の野心的計画、演出を用意中と見られてきた。従って、オバマ大統領の欠席は、ロシア側を失望させるもので、米露関係が近時欧州における米ミサイル配備問題等をめぐり冷却化をみせている折から今後の両国関係にとり決して良い材料とはいえないであろう。 
    (Y. I. )
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東アジアで展開する軍事演習合戦

2012/04/30 11:13
  東アジアにおいては、先般、米国と韓国、日本との間で恒例の軍事演習が行われ、とくに米韓のそれについては、北朝鮮に近い海域であったこともあり、北朝鮮側からの激しい反撥があったが、これら演習は、北朝鮮のみならず、近年の東アジアにおける中国海軍および沿岸監視船の活動の活発化を背景として行われていることは明らかであった。
  また、南シナ海周辺においても、米国とベトナム間の軍事演習が行われており、さらに、フィリピンも、米国との間で、4月16日からフィリピン各地で大規模な合同軍事演習を実施し、同月25日には中国などと領有権を争う南シナ海の島々に近いパラワン島の海軍基地で、双方の海兵隊80人が参加して上陸訓練を行ったようだ。
  米国政府は、フィリピン政府との間で初めての外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2を、近くワシントンで開くと発表し、海洋進出を進める中国を念頭に、両国の安全保障面での協力関係の強化を話し合うという。
  これらの動きの中で、中国とロシアも、両国海軍にとり初めての大規模で実戦的な合同軍事演習を4月27日まで6日間にわたり行った。
  中国の国営テレビなどが黄海上を進む中国海軍のミサイル駆逐艦「ハルビン」のレーダーが敵の艦隊に見立てた目標物を捉え、ロケット砲や対空砲を次々と発射し、甲板上から、敵の潜水艦を探知する哨戒ヘリコプターが飛び立つなどの実弾演習の様子を中継で伝えたようだ。
 「ハルビン」は中国海軍で初めて太平洋横断を実現した主力艦であり、隠密性が高い「宋級」潜水艦も参加した模様で、最近の米国と関係諸国の軍事演習に対抗した動きとして注目される。
(Y. I. )   
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  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104)
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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国連安保理が最近やっと機能しはじめたのは、中露の協調外交によるのか単なる追随か

2012/04/23 08:55
  国連安保理は、シリア情勢や北朝鮮問題で強い決議や議長声明を採択しようとするとこれまで拒否権を有する中国やロシアがきまって慎重論を主張したり、反対して、安保理が実効的措置をとることを妨げ、安保理は、その第一の任務たる国際の平和と安全の維持機能を果たし得ないできた。
  このような状況が恒常的に続くことになれば、すでに一部で囁かれているように欧米諸国と中露両国間の「新冷戦」時代が到来したのではないかと憂慮されるのも理由なしとしないであろう。
  しかし、幸いなるかな、最近になってこのような情勢について多少改善の兆しが見えはじめてきたような観もある。
  1つには、北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射の失敗を受けて、北朝鮮の行為が先の安保理決議違反であるとしてこれを強く非難する安保理議長声明を採択しようとした際、中露の抵抗が懸念されたが、議長国米国の強力な采配により予想以上に迅速に強い内容の議長声明がとりまとめられ発出された。
  また、シリア情勢についても、現地ではアサド政権の血なまぐさい反政府勢力の弾圧が続行する中、国連安保理の欧米およびアラブ諸国メンバーが再三にわたりこれを停止させるための決議案の採択を試みたが、これまで露中の強い抵抗により失敗してきた。しかし、コフィー・アナン前国連事務総長が停戦実現のため仲介に乗り出してから、まず国連が30名までの先遣停戦監視非武装軍事要員チームをシリアに派遣する決議が露中を含む安保理理事国全会一致で採択され、監視チームが現地に派遣された。
  さらに、4月21日、市民弾圧を続けるシリア政府と反体制派の停戦監視のための平和維持活動(PKO)部隊の本隊を派遣する決議案が同じく全会一致で採択された。この新PKOは、国連シリア監視団(UNSMIS)と称され、非武装の軍事要員最大300人で構成し、政府と反体制派を含むすべての当事者に改めて暴力行為の停止を求め、政府に対しては、アナン特使に約束した、人口密集地からの軍の撤退や重火器の使用停止などを早急に実行するよう改めて要求するものである。
  中露両国は、国連が加盟国の内政干渉となる恐れがあると見られる決議の採択には従来より一貫して強く反対し、拒否権の行使も厭わないとの態度で臨んできているので、シリアにおける政府と反政府勢力の対立という一見純然たる国内問題について人道的観点から派遣される国連PKOに中露が賛成するというのは、両国のこれまでの立場から踏み出したものと云える。
  しかし、中露の以上のような最近の行動は、果たして国際社会が懸念する事態への対応への協調外交に両国が転じたものであるかどうかは即断できないであろう。むしろ、北朝鮮問題にせよ、シリア情勢にしろ、国際社会全体の眼に明らかに不穏、不当な状況に対する共同行動に対しては、中露としても抵抗ないし反対しきれず、両国とも大勢順応ないし追随の行動をとるのが無難と判断した結果とみるのが実際のところではないであろうか。この点は、いずれ、北朝鮮が準備をほぼ完了したとされる第3回目の核実験の実施を行ったり、シリアのアサド政権がやがて国連に約束した対応をとるのをためらったりした際に、安保理が更なる強い決議を検討せざるをなくなった時、明らかになるであろう。
(Y. I. )   
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東アジアにおいて見えはじめたミサイル軍拡競争熾烈化の兆し

2012/04/20 12:16
  北朝鮮の「人口衛星」と称する弾道ミサイルの発射が失敗に終わったばかりの東アジア地域において、インドは、4月19日、軍備の近代化の一環として、堂々と、中国、日本を含むアジアのほぼ全域を射程に収める新型の弾道ミサイルの発射実験を行った。このミサイルは、射程が5000キロを超える「アグニ5」と呼ばれるインド初のICBM=大陸間弾道ミサイルであり、インドの国防省当局によれば、ミサイルは目標地点に着弾し、実験は成功したという。
  一方、北朝鮮は、先般の「衛星」の打ち上げ失敗の技術的問題の解明をすでに終わり、打ち上げ技術の進化、発射のための長期計画を邁進することを宣言した。
  このような動きの中で、韓国国防省も、4月19日、北朝鮮全域を射程に収める巡航ミサイルを実戦配備したと発表した。同省によれば、この巡航ミサイルは、数百キロ離れたガラス窓ほどの大きさの目標を正確に攻撃できる能力、サッカー場数十個に相当する面積を焦土にする破壊力があり、「北の全域のあらゆる施設を即時に攻撃できるようミサイルの実戦配備を完了済みで、北が無謀な軍事的挑発をしてきたら断固として対応する」という。
   これらの動向に大きな関心を有するとみられる中国外務省の劉為民(リウウェイミン)・報道局参事官は、4月19日の定例会見で、インドの新型ミサイル試射について「中国とインドは協力相手であって競争相手ではない。双方は、現在の良好な情勢を重要視し、地域の平和と安定の維持に積極的に貢献するべきだ」と述べたとされ、一応、つとめて冷静を装っているようである。
   しかし中国の弾道ミサイル発射技術は、これまで人民解放軍が人工衛星、有人ロケット発射技術を含め主導的に軍事面を中心とした開発を進めてきていて、他のアジア諸国をはるかに水をあけ、米国に追いつくことを目標としている水準にあるが、インド等の新たな動きに刺激され、更なる積極的開発に取り組むことになるのは間違いないであろう。
  (Y. I. )   
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「人工衛星」打ち上げ失敗後の北朝鮮威信回復のための次の手は

2012/04/15 05:54
  世界が注目する中行われた北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル打ち上げは、北朝鮮当局の想定外の失敗に終わった。
  平壌に設けられた立派な外国記者用のプレスセンターに集められた外国人報道陣の再三の質問に、答える言葉を失った北朝鮮側説明責任者は、自分らも上司からの指示をずっと待っているところだと怒鳴り返している映像が流れていた。
  さすがに、北朝鮮側は、失敗をあっさり認めるのが最善策と決断し、当日は金日成生誕百周年行事を何ごともなかったように粛々と進め、金正恩も笑顔で親近感を周囲・国民に示すようにふるまっていた。
  これまでの北朝鮮流に明白な失敗を「成功」と強弁し、無理な発表を行わなかったのは、先方の危機管理の知恵の1つとして賢明であったかもしれないと評し得よう。
  しかし、世界の眼には、今回の発射失敗により北朝鮮の威信が大きく失墜したことは明らかで、視察団を派遣してきていたイランその他従来よりのミサイル技術取引お得意先国は、今後の取引を考え直しかねず、北朝鮮のミサイル・ビジネスの将来に悪影響という実害も及んだことは間違いない。
  そこで、北朝鮮側としては、今回の失敗によるマイナスを挽回するため世界があっと驚く何らかのフォローアップ措置をとる公算が大きいと見て良いであろう。先般米国に対し腰を低くして交渉し苦労してまとめ上げた食糧支援合意も米側が中止を発表したので、米側にインパクトを与え、再度交渉テーブルにつかせうるようなものでもなければならないであろう。
  従って、北朝鮮の次なる手は、地下核実験であろうとの見方が有力であり、これは、「人工衛星」の打ち上げと同じく、金正日よりの遺訓の1つでもあるとの説もあるが、果たして、今回の「大失敗」を受けて、中国、ロシアの否定的反応をあり得る核実験を早期に再開する度胸が金正恩指導北朝鮮にあるのか、あるいは一旦低姿勢による恭順の姿勢を一時的にせよ示す方が賢明との知恵を示すことになるのか、注目に値しよう。
     (Y. I. )   
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シリアによるコフィー・アナン特使の提案受託に拘わらず好転しないシリア情勢

2012/04/04 05:59
  当局側の力による弾圧、流血が続くシリア情勢は、コフィー・アナン前国連事務総長(国連とアラブ連盟の合同特使)のシリア側との直接交渉の結果、シリア側がその提案を受託し、国連安保理の全常任理事国がアナン提案を軸とした事態打開を支持する旨表明したことから、好転することが期待されたが、情勢は依然厳しく、早期に好転することは望み薄いようだ。
  アナン特使は、4月2日、ジュネーブからテレビ会議で和平調停案の経過を国連安全保障理事会に報告した際、シリア政府が4月10日までの部隊撤退などを約束したとし、停戦監視団の派遣を検討するよう安保理に要請したとされる。
  今月の安保理議長国の米国のライス大使によれば、アナン氏は、4月1日、シリアのムアレム外相から「10日までに軍の展開と重火器の使用を停止し、人口密集地からの軍の撤退を完了させる」と連絡を受けたと報告した。アナン氏は、これらが確認されれば、政府軍と反体制派は48時間以内に停戦合意するとの見通しを示した上、停戦合意した場合、停戦監視団を派遣できるかを調査するため、国連PKO局がシリアに調査団を派遣することも報告したところ、安保理理事国からは停戦監視団派遣に必要な決議採択に前向きな発言が相次いだものの、安保理理事国には、アナン氏の報告に懐疑的な見方も強く、米国は、シリア政府の暴力が収まるどころか、むしろ深刻化するかもしれないとの見方を示しているという。
  一方、シリア反体制派の組織「シリア国民評議会(SNC)」のブルハン・ガリユン議長は、4月1日、トルコのイスタンブールで開かれた反体制派支援目的の第2回多国間会議「シリアの友人」会合後に朝日記者に対し、アナン前国連事務総長の停戦案の条件が整った場合、政権移行目的でアサド政権との交渉に応じる用意があると語ったとされる。しかし、シリア政府は3月末にも停戦案受け入れを表明したことがあるが、その後も市民殺害は続いており、交渉の条件が整うことは決して楽観視されないであろう。
     (Y. I. )   
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核サミットと米国の中国に対する核軍縮参加の呼びかけ

2012/03/29 07:23
   3月27日、53カ国の首脳が出席し、2日間にわたり核テロ防止策などを協議したソウルでの第2回核保安サミットは閉幕した。
   同会議では、高濃縮ウラン(HEU)削減計画の2013年末までの自発的な提示や、東京電力福島第一原発の事故を踏まえた原子力施設の安全強化の必要性などを盛り込んだ共同宣言を採択し、次回は14年にオランダで開催することを合意したようだ。
   会議の成果もさることながら、オバマ大統領が会議前の3月25日から韓国を訪れ、滞在中、北朝鮮の軍事境界線付近の非武装地帯(DMZ)を視察し、韓国と結束して北朝鮮に対応する決意を示したほか、韓国との友好関係、李明博大統領との親密振りを示したことが注目された。
   オバマ大統領のソウル訪問は、今回が3度目で、ワシントンに次ぎ訪問回数の多い首都であると述べたという。
   以上のほか、オバマ米大統領は、3月26日午前、韓国外国語大学で演説し、核拡散防止への国際的な取り組みの強化を訴えるとともに、核兵力を含めた軍備増強を続ける中国に対し、核軍縮交渉に参加するよう呼び掛け、また、ロシアに対してはこれまで手つかずだった戦術核兵器の削減に向けた交渉の開始を促す考えを示した。
   戦略核軍縮は、これまで米露間だけで交渉が行われ、合意がなされてきた。中国は、自国の核は、自衛のためのみのものであり、数も少ないとして、これまで交渉参加を免れてきた。しかし、米ロの核兵器削減で相対的に中国の核の存在感が大きくなってきており、米国として益々軍事大国化している中国の核戦力への懸念を表明し、中国を核軍縮交渉に引き出したいとの強い意向を示したことは当然であろう。
   周知の通り、中国は、まだ発展途上にあり、国土が広大であるとして、気候温暖化対策のためのCO2削減の法的義務から免除されるべきであるとの立場を固執しており、核軍縮交渉への参加の呼びかけについても当面参加を拒否すると見られるが、中国に対し、環境分野のみならず、核軍縮分野においても大国としての責任を果たすべしとの國際的圧力は今後益々強まっていくこととなろう。
   (Y. I. )   
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ミャンマー民主化をめぐる熱気の持続性

2012/03/20 11:32
   ミャンマー情勢は、1年前からすっかり変貌した。
   発端は、2011年3月の民政移管によるテイン・セイン大統領の誕生を契機として同国において進められてきた民主化に向けての諸改革や国民和解のための取り組みが単に見せかけのものではなく、かなり真剣なものと受けとめられはじめたことによる。
   当初、それまで厳しい見方をとってきた欧米諸国の間には、これら動きが真の民主化に向けたものかどうか疑問視する向きも少なくなかったが、最近では、EUや米国政府も同国においてようやく民主化に向けた本格的ステップがとられ始めたと歓迎し、各国首脳・外相クラスも同国を訪問し、制裁措置の緩和に踏み切りつつある。
   我が国は、ビルマと呼ばれていた時代から同国と伝統的に良好な関係にあり、筆者も2年余居住したことがあるが、すでに同国に対し人道援助を超えた本格的政府開発援助の再開の動きを見せている。
   我が国民間企業関係者のミャンマー詣でも始まっており、ヤンゴンのみならず、新首都ネピドーに支店を開設する商社も出てきている。
   今後、ミャンマー政府は、4月1日に予定されている議会補欠選挙、明年の東南アジア競技大会(SEA Games)の開催、2014年のASEAN議長国就任等を控えていることから、民主化に逆行する諸措置は採りにくいものと思われるが、同国は、かつてビルマ式社会主義とも呼ばれた大国への等距離中立主義時代を含め、長期に亘る孤立政策を経験してきており、軍部出身指導層には、依然、急激な民主化、市場経済への突入には抵抗があるとみられるので、中国等近隣大国の出方を含め、これからの内外状況の展開次第では、同国の政策の揺れ動きや紆余曲折等は大いにあり得るであろう。
      (Y. I. )   
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シリア流血情勢の長期化

2012/03/11 19:58
  シリアのアサド政権による反体制派の武力による弾圧を止めさせるため、国連とアラブ連盟の特使としてアナン前国連事務総長が3月10日ダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談したが、不調に終わったようだ。
  シリア情勢をめぐっては、各国の外交も活発化しているようである。
  しかし、ロシアがアサド政権を支える基本姿勢を変えず、すでに安保理でシリア非難決議案に2度拒否権を行使しており、ラブロフ外相は、シリア行き直前のアナン氏とカイロで会談し、「シリアへの内政干渉に反対する」旨伝えたという。
  他方、反体制派を支援するカタールのハマド首相兼外相は、3月10日のアラブ連盟外相会合でシリア国民評議会を承認し、シリアに国際部隊を送るべきであると主張し、反体制派も対話の時期は終わったとしている。
  しかし、安保理の承認がない有志国による人道的軍事介入のような対シリア強硬策は、アラブ連盟の他の諸国や欧米諸国の支持を得られそうにないので、アサド政権による反体制派勢力の力による弾圧の状況は長期化し、各国とも局面を打開しえないまま手をこまねいて傍観を余儀なくされる事態が継続することとなろう。
    (Y. I. )   
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再登場したプーチン・ロシアと北方領土問題の行方

2012/03/07 22:55
  3月4日行われたロシア大統領選挙の結果は、予想通り、プーチンの圧勝であった。
  得票率は、かつてのようには高くはなかったが、2位のいつものライバルであるジュガーノフ共産党党首を足下に寄せ付けない大差で勝利した。
  ロシアは、広大な国土を有する大国であるので、選挙結果集計に相当な時間を要するのだろうと思っていたら、何のその、開票後余り時間をおかずして、プーチンが早ばやと勝利宣言を行い、余程嬉しかったのか涙ぐむ姿が世界に流された。
  今回の選挙には、これまで同様、日本を含む諸外国より監視団が派遣され、一部に不正があったとの指摘もあったとされる。プーチン自身一部不正があったかもしれないと認めたとの報道もあるが、プーチンの勝利は揺るぎないものであろう。
  しかし、プーチンの権力掌握と長期政権化に強い懸念、不満をもつ多数の市民・インテリ・経済人等が存在することも明らかになっており、その動向が今後の注目点の1つであろう。
  一方、プーチンは、勝利が確定する以前より、本邦メディアに対し、北方領土問題について発言を行い、注目されている。その発言内容は、プーチンのホームページにも掲載されているようで、野田総理も、早くも、プーチンの当確の時点で電話会談を申し込み、勝利の見通しに祝意を表しつつ、領土問題については「叡智ある解決に取り組みたい」と述べたという。
  本邦紙によれば、プーチンは、北方領土問題について歯舞、色丹の「2島返還」による解決を迫ったとか、「2島プラスα」を示唆したものとか、すでに種々取り沙汰されているが、ロシアについての権威ある専門家である袴田茂樹教授によれば、プーチン発言についての本邦紙報道は、HPに掲載されているその発言全体の一部しか紹介しておらず、全体を読み、分析すると、「2島返還」すら明確にしていない(2島についての主権をロシア側に残したまま、開発を日本側に委ねるといった趣旨の単なる「島の引き渡し」を狙っているかもしれない)というので要注意である。
  袴田氏の指摘については、「プーチン首相の北方領土発言の真意を読み誤るな」
  (http://www.jfir.or.jp/cgi/m-bbs/index.php?title=&form[no]=2354)をご参照。)  
     (Y. I. )   
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2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104)
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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明らかとなった米朝合意の内容

2012/03/02 10:10
   米国と北朝鮮間で行われていた核と食糧支援の取引をめぐる2国間交渉の結果が双方により同時に明らかにされた。
   合意の内容は、IAEAの査察の下でのウラン濃縮およびミサイル発射の一時停止と米国による24万トンの「栄養補助支援」を骨子とするもののようであるが、双方ともまだ最終的に詰まったものではなく、さらに細目について交渉が継続されるという。
   つまり、双方とも思惑があって一旦基本的合意をまとめ、発表したが、今後の交渉プロセスの中で双方、とくに北側は、その後の国内・周辺情勢や利害如何によっては、何時でも相手側の交渉態度等に難癖をつけて合意を反故にしうる性質のものである。
   早くも、IAEA職員による査察の対象にプルトニウム施設が入っているかどうかが明確となっていないとの問題点が浮上して種々取り沙汰されているが、実に危なっかしい米朝合意のようである。
   ただ北朝鮮の指導者交代後、金正恩の指導者としての政策ビジョンがまだ形成されていない過渡的期間における北朝鮮側集団的指導層の思考の方向性を探るとともに米側の基本的考えをインプットし、好ましい影響を及ぼす観点からは、今般の米朝交渉は、今後の本格的やりとりの第一歩として意味のある試みであった。
   米側は、日韓外交当局とも緊密な連絡をとりつつ北朝鮮との話合いを慎重に進めようとしていることは評価されるが、北朝鮮側が過去の例にも鑑み何時米側や韓国側に対し無理難題を言い出し、過激な行動に出てこないとも限らないので、米朝交渉が無事進行し、6者協議再開につなぎうる実質的成果がえられうるのか等当分の間状況を注視していく必要があろう。
     (Y. I. )   
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1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテリジェンス―機密から政策へ】
  マーク・M・ローエンタール 著
  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104)
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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北朝鮮情勢は、今般の米朝協議により動き出すだろうか

2012/02/26 06:10
   2月24日、北京で2日間にわたり開かれた核問題を巡る米朝協議が終了した。
   デービース米北朝鮮政策特別代表は、「劇的な変化は何もなかった」と述べつつ、「非常に広範で突っ込んだ意見交換ができたこと」が「多少の進展」であったと評価し、意味深長な発言をしている。
   同代表は、25日ソウルで韓国外交通商省のイム・ソ ンナム朝鮮半島平和交渉本部長と、また26日には東京で杉山外務省アジア大洋州局長と会談し、協議結果を日韓両国と分析し、今後の対応を話し合う予定で、米国として慎重な態度を示している。
   一方、25日北朝鮮国防委員会は、北朝鮮の至近海域で行われる米韓軍事演習に対し、韓国政府および米を激しく非難する声明を発し、報復の威嚇を行うなど、従前と変わらない強硬姿勢を見せている。
   今回の米朝協議では、米国が6か国協議再開の前提とするウラン濃縮の停止や北朝鮮が対価として要求する食糧支援、さらには拉致問題等を含む多くの問題について突っ込んだ意見交換ができたとされる。
   米側としては、はじめから「劇的な変化」が得られると期待していた筈はなく、意見の差が埋まらなかったのは当然で、北朝鮮の指導体制変化後の米国や6か国協議再開問題についての考え方にニュアンスの違いを含め何らかの変化があるか打診し、分析することを目的としていたものであろう。
   北朝鮮側は、従来よりの米朝接触で、米側に対し、24万トンとも30万トンとも言われる「栄養食支援」の要請をしていると云われ、今回も核問題打開の確約を伴わない何らかの食糧支援に関する「取引」の要請を行ったとみられる。
    これに対し、米側は、これを即座に拒否することなく、北朝鮮側に対し、「どのような食糧が必要とされ、かつ提供可能かどうか、また必要とする人に食糧が届くかどうかの監視は可能か、などを(実施の可否の)判断材料にしているとの基本方針を説明した」と述べ、慎重に検討する旨約して持ち帰ったとみられるので、米側が韓国、日本の感触を踏まえ、今後どのように処理するかが注目されよう。
     (Y. I. )   
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情報が乱れ飛ぶイランをめぐる情勢は、どれだけ急迫し、深刻なのか

2012/02/19 07:37
  イランの核開発についての世界の疑惑は、日々深まり、深刻度が増大しつつあることは間違いない。
  一方では、イランのアフマディネジャド大統領および当局は、イランの核開発が着実に進展していることを累次宣明してはばからず、イラン国民もその進展に熱狂しているようである。
  これに対し、米国及びEU諸国のイランに対する制裁措置も着実に強化され、イラン包囲網も形成されつつある。
  日本も米国の強い働きかけによりイランからの石油輸入を大幅に減らさざるを得ない情勢だ。
  イスラエルがイランの核施設を狙ったロケット攻撃を考慮中との情報がパレッタ米国務長官により明らかにし、米国はその性急な実行を抑えている模様である。
  そのイスラエルのバラク副首相・国防相が、最近、地域情勢により大きな影響を受ける日本に対する根回しをも意図してか訪日した際、日本の対イラン制裁への協力を要請し、イスラエルとしてはイランの核開発阻止のためあらゆる措置を排除しないと強調したという。これに対し、日本側がイランに対する軍事的対抗は避けるべきであると指摘したことは適切であった。
  イランは、制裁措置に対しては、ホルムズ湾の封鎖をもって対抗する旨明らかにしており、日本政府も状況によっては自衛艦の同地域への派遣の可能性をも検討中といわれる。石油価格も次第に高騰してきた。
  以上のような情報だけからは、情勢は日々緊迫し、まるで何らかの事件が発生すれば一触即発で中東地域が大混乱に陥りかねない情勢に近づいている観にもみえる。
  しかし、他方では、IAEAは、イランは核施設の査察に十分な協力をしていないとの批判を繰り返しながら、イランへの専門家チームの派遣を続けたり、米国報道官がイラン当局による最近の核開発の急速な進展の発表は国内向けに実際よりかなり誇張されている旨指摘したりしている。
  さらに、2月15日イランが去年1月から暗礁に乗り上げている、欧米など関係6か国との核開発問題を巡る協議を再開する用意があるとした書簡を、EUのアシュトン上級代表に送ったことに対し、クリントン米国務長官は同17日、ワシントンでアシュトン上級代表との会談後の記者会見で、「重要な一歩だ」と述べ、「待ち望んだ反応」であるとしてこれを歓迎する姿勢を示したという。その際、同長官は、「協議を再開するなら、イランはみずからの核開発計画を明らかにする姿勢を見せ、ウラン濃縮を巡る情報を提供するとともに、濃縮活動の即時停止を盛り込んだ国連の決議を守るべきである」としたというが、まだイランとの交渉にもかなりの期待を抱いているかのごとき、多少悠長な反応であり、イランをめぐる情勢の緊迫度、深刻度に疑問を抱かせるものといえよう。
  (Y. I. )   
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シリアの弾圧の停止を求める国連総会決議の採択

2012/02/17 11:27
   先般国連安保理でアラブ諸国・欧米諸国が推進してきた決議案が理事国多数の賛成投票を得ながらロシア・中国の拒否権行使により否決され、シリア情勢の行き詰まりが深まり、国連安保理の機能不全が露呈された。その際の当ブログ記事の中で、次の注目点は、拒否権制度の存しない国連総会で何らかの決議への動きが高まるかどうかである旨指摘したところ、国連総会通常会期は、目下休会中であるが、シリア情勢の緊急性に鑑み、2月16日、総会が開かれ、アラブ諸国や欧米諸国、日本などが共同で提案した決議案の表決が行われ、130 か国以上が賛成し、反対はロシアや中国を含む12か国のみで、決議は圧倒的多数で採択されたという。
   同決議は、アサド政権に対し、市民への攻撃の即時停止とともに、民主化に向けた政権移譲に向け退陣を求め、また、パン・ギムン国連事務総長に対し、アサド政権側との交渉に当たる特使の任命を求めるもののようだ。
   総会決議は、安保理決議と異なり拘束力はないが、現下のシリア情勢に対する国際社会の強い意思表明を何とか行うことができたということであろう。
   他方、シリア現地においては、安保理で拒否権を行使したロシアのラブロフ外相や中国の翟雋外務次官が訪問し、アサド政権存続のテコ入れに努め、アサド大統領も2月26日新憲法についての国民投票の実施を明らかにするなど、内外の事態の沈静化に努める恰好を見せてはいるが、シリア情勢の行き詰まりが改善に向かう兆しは何ら見えていない。
  (Y. I. )   
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